第37回日本中毒学会
東日本地方会

会長挨拶
greeting

会長の写真

第37回日本中毒学会東日本地方会
筑波大学医学医療系 救急・集中治療医学
教授 井上 貴昭

この度、第37回日本中毒学会東日本地方会会長を拝命させていただきました筑波大学医学医療系救急・集中治療医学の井上貴昭(いのうえよしあき)です。今回は茨城県つくば市にございます筑波大学構内で現地開催させていただきます。つくば市はご存じの通りつくば中毒情報センターが開設されている、いわば中毒の聖地です。また、内藤裕史先生、山下 衛先生、水谷太郎先生と、歴代の“中毒学のレジェント”が、かつて中毒診療と研究に邁進されたサンクチュアリです。従いまして、本学会を筑波大学で開催させていただくことを大変光栄に感じると同時に、身が引き締まる思いです。

さて、今回のテーマですが、『中毒に夢中』とさせていただきました。臨床においては、原因がよくわからない緊急病態を呈する重症患者が、実は薬物中毒であったことが判明した後、決定的な治療と対症的な集中治療の結果、まったく後遺症を残さず退院していく姿をしばしば経験します。社会的にも犯罪や多数傷病者発生事故が、実は中毒事例であったことが、過去から毎年のように報道されています。常に“実は中毒が原因では?”と疑うことの重要性を経験の多い臨床医ほどお持ちではないでしょうか?このように専門家の心を捉えてならない中毒学ではありますが、最近はいかがでしょう、会員の皆様のまわりには中毒学を志す若手スタッフはいらっしゃいますでしょうか?本学会も近年は新規会員の獲得に苦戦している状況です。そこで今回は、ミレニアル・Z世代と呼ばれる若手会員の新規獲得を目指して、彼らを大いに中毒の魅力で夢中にさせる学会にしたいと考えております。

特別講演では、なんといっても中毒の聖地・つくば中毒情報センターから、これまでの開設以来約40年に及ぶ中毒情報の受信状況や変遷をご講演いただきます。また法務省矯正局・奥村 徹先生から、多数傷病者発生中毒事例の歴史と対応策についてご講演いただく予定です。そして、 “クリニカルトキシコロジストからミレニアル・Z世代への挑戦状”と銘打って、各ご施設を代表する若手医師の皆様とライブカンファレンスを実施して、中毒学に関する知識を大いに競っていただくセッションを予定しております。中毒学ビギナーからベテランまで、中毒診療に関わる多くの皆様を夢中にさせる学会にするべく、鋭意準備を開始しております。

新型コロナウィルス感染症も5類への移行となった現状ではありますが、様々な感染症のリスクがある時期での開催となりますが、感染対策には万全の配慮を行いながら会場準備を進めております。どうぞ都心からは約1時間の閑静な街・つくばに是非ともお越し下さい。皆様のご参加を心待ちにしております。